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実業之日本社 創業120周年
ブルーガイド復刻版

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むかしの旅エッセイ

~BG復刻版の時代・昭和30年代の旅~

【第1回】渡船が醸し出していた瀬戸内旅情 〈しまなみ海道に橋がなかった頃〉
今泉慎一(ライター)

【第1回】渡船が醸し出していた瀬戸内旅情 〈しまなみ海道に橋がなかった頃〉

ブルー・ガイドブックス『瀬戸内海』(昭和37年)より
画像はいずれも、ブルー・ガイドブックス『瀬戸内海』(昭和37年)より。撮影:石津良介

 瀬戸内海はサイクリスト達にとって、近年は憧れの地だ。なぜならそこには、しまなみ海道があるから。朝方に尾道を出発して、7つの橋で6つの島をたどりながら、瀬戸内の多島美の中を快走すれば、夕暮れ時には来島海峡の絶景が待っている。

 本州と四国を結ぶルートは全部で3つあるが、変化に飛んだ風景が続くしまなみ海道が、やはり一番人気と言っていいだろう。7つの橋自体もすべて構造に違いがあり、どこも絵になるスポットとなっている。もちろん、ドライブルートとしても人気が高い。

ブルー・ガイドブックス『瀬戸内海』(昭和37年)より

 しまなみ海道が全線開通したのは、実は1999(平成11)年のこと。ギリギリ20世紀、意外に最近のことだ。さらに遡れば、1968(昭和43)年3月に尾道大橋が開通するまでは、どの島も船でしかゆくことができなかった。当時のガイドブックには、船旅でこそ垣間見られる島風景、島の生活が、懐かしい写真とともに留められている。

 といっても、橋が架けられるぐらいの距離だから、航行時間はほんの数分〜数10分ほど。いわゆる「渡船」だ。1980年代に青春期を過ごした人なら、すぐに大林宣彦監督の尾道映画のワンシーンが、思い浮かぶだろう。

ブルー・ガイドブックス『瀬戸内海』(昭和37年)より

 波に揺られながら、島から島へ。瀬戸内の船旅はほんのひと時ながら、異世界に迷い込むような体験を演出してくれる。島々がひしめき合うこのエリアでは、航路も複雑に入り組んでいるため、「いったいどこへ連れてゆかれるのだろう?」と、なおさらその感は増したことだろう。定員数十人の小型船に、時には自転車やバイクごと乗り込む客も。大型の客船とはまた違う、渡船ならではの旅情がそこにはあった。

 数こそ往時には及ばないが、今でもしまなみ海道の島々を結び、渡船が運航されている。かつての瀬戸内の旅情に思いを馳せつつ、橋伝いでもたどれるルートを、あえて船旅でゆっくりと渡ってみようではないか。

今泉慎一(いまいずみ しんいち)
ライター・編集者。広島県出身。旅、歴史、サブカルチャーなどを中心に、取材、編集、執筆、撮影などをこなす。ブルーガイド・ムック『広島おさんぽマップ』編集担当。

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