田島隆宏 ( タジマ タカヒロ )
1955(昭和30)年5月14日、埼玉県寄居町生まれ。出産時、頭の頂上に内出血あり。生後20日、脳性小児マヒ(四肢マヒ)と診断される。乳母車で移動。64年、埼玉療育園入園。翌年には歩行器で歩き、うつぶせから手を使わずに膝を曲げて正座するまでに回復したが、67年に風邪をこじらせ、病状悪化。筋肉の硬直が強くなり、海老のように身体が反り、足と頭がつくまでに。68年の夏頃からようやく反りがやわらぐ。73年、埼玉療育園を退園し、家庭療養始まる。76年6月、皆光園入園。同時に電動式移動車を購入し、唯一自由の利くアゴで操作して、ある程度行きたいところへ行くことが可能となる。その頃から写真に興味を持ち、押川航武氏の指導で撮影を始める。83年には埼玉県民ギャラリーで初の個展を開き、同年、「ヒューマン写真大賞」(小学館『タッチ』誌)で年間1位を獲得。90年にはNHK主催「国際障害者年・心で写す写真展」に応募、四千点余りのなかから上位40点に選ばれる。その後、“車椅子のカメラマン”としてテレビ・雑誌などに登場するほか、埼玉県内で個展を開催し、大きな反響を呼んだ。94年、処女詩集『小さな声で』(私家版)を出版。96年には武州養蜂園にカメラマンとして就職、カタログ用の写真撮影などに活躍中。
著書に『田島隆宏写真集 生きる』『うたがきこえる』(ともに1998年、実業之日本社)、『ぼくはここにいるよ』(2000年、学習研究社)がある。写真だけでなく、詩作、書、スケッチ、パソコンなど、「人間にできないことはない」という強い信念でチャレンジしている。(1998年4月8日現在)