音の狂ったピアノを調整するピアノのお医者さん
ピアノ調律師
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 少し動かしただけでも音が変わってしまう楽器がピアノです。また、複雑な機能をもっているため、ほかの楽器のように、演奏者が自分で音の調整をするにはかなりの困難を要します。その調整の専門家がピアノ調律師で、調律だけで直らないばあいには、修理まで手がけることもあります。ふつう、調律師は、音楽的原理にもとづいた基本的な音程を作る「調律」の作業と、音をもっともよい状態で発生させる楽器に仕上げるための「整調」の作業、さらにイメージどおりの微妙な音色を作りだす「整音」の作業をおこないます。この3段階を総合して一般的に調律といっています。
 基本は、まず基準音のキーをたたいて音叉(おんさ)と聞き合わせ、完全に同調するようにピアノの中の弦の締めぐあいを調節します。ついで和音を作りながら、ひとつひとつの音を確認してすべての弦を調律していきます。ここでは微妙な音のちがいを聞き分けられる力が必要になります。
 このあと、整調・整音の作業をおこない、さらに温湿度の管理に注意をあたえたり、防音の相談にのったりと、最良のコンディションでピアノがひけるように、さまざまな角度から点検、アドバイスをします。

仕事の環境
●ピアノ調律師の養成機関を修了して、メーカーなどに就職しても、実際に調律の仕事につくのは半数ていどです。●労働時間は、雇用されているばあい、だいたい一般的な水準ですが、定期的に社内研修をおこなっている会社が多く、その分、労働時間が長くなるケースもあります。

ピアノ調律師になるには

これまで・今後
 ピアノ調律師として生計を立てている人は現在、全体で約6000人ほどいます。  家庭へのピアノの普及とともに調律師の数も増えてきました。  ピアノ調律師の多くはピアノメーカーや、大手販売代理店の社員として働いています。独立自営者も少なくないが、収入はそれぞれの技術レベル、著名度などによりちがってきます。  有名ピアニストのコンサート用ピアノを専属で調律するようなコンサートチューナーをめざしている人もいます。

先輩からのアドバイス
 私は子どものころからピアノを習っていました。最初は、ピアノの先生になりたいとも思っていたのですが、家にきてくれた調律師さんの仕事をそばで見ていて、ああ、こんな魅力的な仕事もあるんだと思い、高校を卒業後、調律師養成の専門学校に入りました。調律がうまくいくと、まるでピアノがよろこんでいるように感じます。(ピアノ調律師・黒川博子)

こんな人が向いています
 必ずしもピアノがうまくひける必要はありませんが、音を聞き分ける能力がたいせつです。また、手先の器用さが要求される仕事でもあります。作業中はずっと立ち通しなので、体力もある程度は必要になります。
『中学生のための仕事発見ガイド』(実業之日本社)より。

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