【短期集中web連載】みやすのんきの東京マラソン 12年目の挑戦 第3回
2018.01.12
第3回 「東京マラソン2018チャリティ完走を目指して!」参加レポート&東京マラソン財団スポーツレガシー事業とは?
ジョグポート有明を起点に行われた、大島めぐみさんを講師に迎えたランニングクリニック「東京マラソン2018チャリティ完走を目指して!」に参加してきました。こちらは東京マラソン財団スポーツレガシー事業寄付者特典と行われているものです。


東京マラソン財団スポーツレガシー事業のチャリティアンバサダーでもある、大島めぐみさんといえばシドニー五輪5000m、アテネ五輪で10000m代表、そして世界陸上ヘルシンキ大会の女子マラソン日本代表と活躍された名選手です。期待感が高まります。
恥ずかしながら、私は今までチャリティランナーという参加の方法は、東京マラソンの人気とクリック合戦の狭き門に便乗して、10万円を払う事によって東京マラソンを走れる。いわば「どうしても東京マラソンに出たい人の足元を見て、走りたいなら多めに金払えば?」的なちょっとイヤらしいイメージがあったのです。そしてチャリティで集めたお金は大会運営の補填に当てちゃおうみたいな。しかし今回このように広報企画ランナーに携わって、それが大いなる誤解であることに気づきました。

東京マラソンチャリティは、15の寄付先事業(団体)の中からチャリティランナーのみなさん自身が支援先を選択できます。寄付金は東京マラソン財団を通じて、各寄付先団体のもとに届けられます。参加方法は、東京マラソン2018への先行エントリーだけでなく、一般エントリーに応募して当選したランナーがチャリティに積極的に参加する『Run with Heart(ランウィズハート)ランナー』となるという制度もあります。こちらへの寄付金は1000円単位で、クラウドファンディングに登録して、寄付を呼びかけることができます。また、このクラウドファンディングに応募した人をサポーターと呼びます。
支援の対象は、難病と闘う子どもと家族の滞在施設の建設のための資金であったり、知的障害のある人たちへのスポーツ活動の提供・普及であったり、紛争で故郷を追われた難民の命を守るテントの設置、貧困・いじめ・孤食・発達障害などで生きづらい子供たちを守る、花粉の少ない森づくりなど、自分が支援したいと思った事業を選べます。一言で社会貢献といいますが、寄付をしたお金がどう使われるかは知りたいもの。支援先を自分で選べるシステムはありがたいと思いました。
■寄付先事業一覧
- 一般財団法人東京マラソン財団スポーツレガシー事業
- 公益財団法人ドナルド・マクドナルド・ハウス・チャリティーズ・ジャパン
- 公益財団法人スペシャルオリンピックス日本
- 特定非営利活動法人国連UNHCR協会
- 公益財団法人日本障がい者スポーツ協会
- 公益財団法人そらぷちキッズキャンプ
- 認定特定非営利活動法人ファミリーハウス
- 認定特定非営利活動法人育て上げネット
- 公益財団法人東京防災救急協会
- 認定特定非営利活動法人Teach For Japan
- 認定特定非営利活動法人カタリバ
- 公益財団法人東京都農林水産振興財団
- 公益財団法人プラン・インターナショナル・ジャパン
- 公益財団法人東京都スポーツ文化事業団
- 東日本大震災復興支援事業
今回のランニングクリニックに参加されたチャリティランナーのkazuさん(61歳)にお話をうかがいました。チャリティランナーとして参加するのは2回目で、前回は熊本に住む知人のために熊本震災の復興に、今回はランニングコースやスポーツ施設などの環境整備、アスリートの強化、ジュニアアスリート育成、キャリア支援を目的としたレガシー事業に寄付をされたそうです。このように、チャリティランナーとして参加するリピーターの方も多くいらっしゃるそうです。
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ランニングクリニックは座学と実技に分かれており、座学ではマラソンに向けてのトレーニングについて具体的なメニュー作りを習いました。
- ・持久系として距離走、LSD、時間走
- ・スピード持久系としてペース走、ビルドアップ走、変化走
- ・スピード系としてインターバル、レペテーション
などがあり、それらをどう組み合わせて自分のメニューを組み立てていくか、大島めぐみさんの実業団選手時代のエピソードを紹介しながらわかりやすくお話していただき、大変興味深かったです。なかでも、メニューはあくまで予定であり、「決めたからにはやり遂げなきゃ!」という考えでは失敗するというお話は印象に残りました。1週間ごとにメニューを再考して調整していくことが重要です。しかし、記録を狙うには「疲労を溜め込むことも必要」だそうで、大島さんの場合、ちゃんと練習が積めているときは背中が張っているという感覚があったそうです。実は私にもマラソンの鍛錬期には背中が張ってくるので腑に落ちた次第です。加えて食トレーニングとして疲労を回復してくれる食事やそのタイミングについても学びました。

ランニングのドリルも色々教えてもらったのですが、なかでも面白かったのが、目をつぶってその場で足踏みするというもの。参加者のなかにはクルクルと回り出してしまう人もいました。それは左右の足のキックする力がアンバランスだからだとのこと。また片足立ちしてのストレッチも、バランスが悪い人はふらついてしまい、なかなかの一苦労。私も日々の練習にぜひ取り入れたいと思いました。

実技ではスピード持久系を鍛えるビルドアップ走に挑戦。ジョグポート有明近くの東京臨海広域防災公園という広々とした公園で行いました。最初にウォーミングアップをするのですが、参加者の一人、きばロクさん(54歳)はそれについていくのも苦しそう。聞くとこの2年、体調を崩してお医者さんからも「マラソンを走るのはどうか」と忠告されているとのこと。でも東京マラソンを走りたいと参加を決めて、2018年は完走を目標としているそうです。

ほかの参加者の方々もみな明確な目標があり、それは各々違うのだけれど、結局タイム云々ではなく、頑張ろうという意志はみな一緒なのだと感じました。それでいて和気あいあいとした雰囲気は、大島さんの場を和ませるおだやかな人柄から来るものでしょうか。天気にも恵まれてとても素晴らしいイベントでした。今度はチャリティランナーで参加してみようと思いました。
(みやすのんき)
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東京マラソン財団のスポーツレガシー事業の寄付者の方には、寄付先の一つ、日本陸上競技連盟のダイアモンドアスリートからお礼状が届けられるそうですよ。未来のアスリートからハガキが届くのはすてきですよね。
(編集部/画像:一般財団法人東京マラソン財団)
東京マラソンは、アボット・ワールドマラソンメジャーズ(AWMM)
アボット・ワールドマラソンメジャーズ(AWMM)とは、2006年から始まったマラソン版の「グランドスラム」です。マラソン競技の発展と競技者の意識向上を目指すと同時に、ランニング愛好家の間におけるエリートレースへの関心を高めるべく創設されました。
東京マラソン(2013年から加入)、ボストンマラソン、ロンドンマラソン、ベルリンマラソン、シカゴマラソン、ニューヨークシティマラソンの「世界6大メジャーマラソン」にオリンピックマラソン、世界陸上マラソンを加えて構成される、1年間のシリーズ戦です。
1年間、対象大会において最も多くのポイントを獲得した男女選手が、AWMMシリーズチャンピオンとなり、それぞれ50万ドルが贈られます。2016年4月のボストンマラソンで幕開けしたシリーズX(テン)より車いすマラソンレースシリーズもスタート。東京マラソン2018の車いすマラソンもポイント獲得の対象で、優勝賞金は5万ドルです。
オリンピックや世界陸上にも劣らないレベルの高い大会ですが、一般ランナーの楽しみ方もあります。それは、6大会すべてを完走したランナーに贈られる「Six Star Finisher」の称号を狙うことです。これはエリートランナーのみならず、世界中のランナーにとって名誉なことで、AWMMの公式サイトに名前と各大会の完走タイムが掲載されます。マラソンを走る者として、この称号はひとつのステイタスになります。
2017年4月、中国のコングロマリットである大連万達グループが、マラソン大会の発展を目指し、AWMMと10年の戦略的提携契約を結びました。現在のAWMMは6都市で開催されるフルマラソンとなっていますが、今回の提携によって七つ目の大会が加わる日がくるかもしれません。中国及びアジアの国々でも急速に人気を得ているランニング。走ることで世界が繋がる日がきたら、これほど嬉しいことはありませんね。
(編集部)