風の盆幻想

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  • A6判352ページ
  • 2013年06月05日発売
  • 価格 649円(税込)
  • ISBN 978-4-408-55129-6
    • 在庫あり
風の盆幻想

内容紹介

叶わぬ恋、彷徨う魂 死を招く哀切な調べ――

――宮川沿いの本町通りを、鍛冶橋の交差点から南へ百メートルほど行ったところに「ロスト」という喫茶店がある。本町通りは観光スポットの一つ「高山陣屋」に繋がり、「陣屋朝市」と、鍛冶橋を挟んで東の対岸にある「宮川朝市」のあいだを行き来する観光客でいつも賑わう、いわば高山のメイン通りの一つだ。
その日はしかし、台風十一号の前触れで昼すぎから猛烈な吹きっ降りだった。通りを行く人はあまりなく、ロストもランチタイムの三組のお客が帰ったあとは、ほとんど開店休業状態といってよかった。二時近くになって、この店に一人だけいるウェートレスの木村香苗が「きょうはもう、お客さんみえませんよ」と言い、マスターの高田功も「そやな、店を閉めようか」と応じた時、ドアが開いて、男が入って来た。
傘を持たずに歩いていたのか、男は頭から滝を被ったように濡れそぼっていた。(プロローグより)

幽玄な唄と踊り「おわら」が観る者を魅了する「風の盆」で有名な富山県の八尾。本番八日前、老舗旅館の若旦那が死体で発見された。しかし、若女将も警察も自殺で終わらせようとする。疑問を感じた名探偵・浅見光彦と軽井沢のセンセこと、推理作家・内田康夫のコンビは、謎の解明に乗り出す。八尾から飛騨高山、神岡へと辿る推理行から導かれた、悲劇の真相とは……。哀しき愛を巡る傑作旅情ミステリー。(解説は山前譲氏が執筆)