星々たち
桜木紫乃著(サクラギ シノ)
A6(文庫)判 288ページ
2016年10月05日発売
価格 652円(税込)
ISBN 978-4-408-55313-9
在庫なし
直木賞作家・桜木紫乃の真骨頂がここに!
奔放な実母・咲子とも、二度目の結婚でさずかった娘とも生き別れた塚本千春という女。
昭和から平成へと移りゆく時代、血縁にとらわれず、北の大地をさすらう千春は、
やがて現代詩の賞を受け、作家を夢見るが……。
千春の数奇な生と性、彼女と関わる人々が抱えた闇と光を、研ぎ澄まされた筆致で炙り出す。
桜木ワールドの魅力を凝縮した、珠玉の九編。
松田哲夫氏(編集者・書評家)激賞!
『一人一人の命が星のように光っている。
その輝きを「物語」に結実させたエンディングの鮮やかさは見事!』
■ひとりワルツ
つとめ先のスナックに時折現れる優男・ヤマさんに、咲子はひそかに思いを寄せている。
中学生になった娘の千春と再会を控えた咲子を、ヤマさんはデートに誘う。
■渚のひと
医大に通う息子が帰省する。
久々に家族三人で囲む食卓の準備で内職を早めに切り上げた育子。
隣家の千春は、息子が卒業した高校の後輩にあたるのだが……
■隠れ家
ススキノの踊り子・麗香は、兄が帰ってきたら舞台を去ると決めていた。
その夜、8年ぶりに兄が姿を現した。
■月見坂
晴彦は高齢の母親と二人暮らしだ。
商品の苦情を述べた母への謝罪に訪れたスーパーの配達係の女性を見て、晴彦は……
■トリコロール
小さな港町で所帯を持って25年。桐子は夫とふたり、理髪店を営んでいる。
ひとり息子は家業を継がずに街をはなれている。
■逃げてきました
市役所勤務のかたわら、詩作をつづけてきた巴五郎。
彼が主宰する詩作教室に、塚本千春という30代の女が入会してきた。
■冬向日葵
罪を犯し、逃げ続けて何年になるだろう――。
能登忠治が道北の小さな一杯飲み屋の女将、咲子と暮らして8年が過ぎた。
■案山子
東京から北海道・十勝に移住、独りで野中の一軒家に暮らす元編集者・河野保徳の前に
現れたのは……
■やや子
図書館司書の田上やや子は、交際半年の恋人に乞われ、彼の母親と会っている。
内心、彼と別れようと考えているやや子だったが……