「夫以外」書影

夫以外

新津きよみ(ニイツ キヨミ)

A6判 304ページ

2016年04月05日発売

価格 652円(税込)

ISBN 978-4-408-55289-7

在庫あり

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どうして私は夫ではない男を求めるのだろう。

わたしの人生は充実する、あの夫、あの親族さえいなければ。
子供も大きくなって、両親も老齢期に入り、時間を手に入れた世代の女たち。
だが家族がらみの事件が、わたしを放さない。
“夫以外”のシチュエーションをテーマに、女たちの日常に潜むミステリー全6編。

「夢の中」
子供のいない40代後半の聖子は、一回り年上の夫を、急性心不全で亡くすという不幸に直面した。同世代の友人・美智子に手伝ってもらった葬儀後、遺産を渡す目的で、亡夫の甥にあたる青年に会った聖子は、彼に心を奪われてしまった。

「元凶」
結婚したての郁美は、夫の母である訓子に好意をもっていた。仕事のある郁美は、将来も訓子に育児や家事をまかせたいのだが、定年後家にいるようになった訓子の夫が偏屈で……。

「寿命」
未婚ながら娘を独立させた直子。公務員を定年退職し、父母を見送った。マンションを売り、父母の家に移り住む計画もある。手に入れられなかったのは夫だけだが……。退職の日、直子の前に一人の少女が現れたことで、状況は一変した。

「ベターハーフ」
臓器移植コーディネーター・暁子のもとを訪れた恵。生体腎臓移植は、夫婦間でも可能かという恵の問いに、暁子は可能だと答えた。「ベターハーフ」――自分が必要とするもう一つの存在を、恵は例に出す。彼女は、離婚後に仲のいい関係になった、元夫に腎臓をプレゼントしたいのだ。

「セカンドパートナー」
未亡人となった57歳の母親が再婚すると聞いて、娘の美砂は仰天した。一方、再婚相手の田村賢治にも子供は二人いた。田村の娘・亜由美は、離婚後に子連れで実家に戻っていた。亜由美の離婚理由は、夫以外に趣味の合う友人、セカンドパートナーをもっていたことが理解されなかったからだ。

「紙上の真実」
真弓と信矢夫婦は、夫婦別姓を貫いている。小学生の兄弟も別姓だ。ライターの真弓は、姑を餓死させたと誤報された61歳女性を取材した。その女性は、養親の反対を押し切り結婚。夫を早く亡くした後、婚家との関係が悪化し、縁を切って独り身に戻った。女にとって、姓とは、家とは何なのか。ラスト1行のサプライズにも注目。