「地図とスイッチ」書影

地図とスイッチ

朝倉かすみ(アサクラ カスミ)

四六判 248ページ

2014年11月07日発売

価格 1,540円(税込)

ISBN 978-4-408-53653-8

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スイッチ押せば ほんのちょっとの奇跡が起きる

 ぼくが考えるスイッチとは、つまり道筋だ。そしてスイッチを押すとは、どの道筋を選ぶか決めること。それを繰り返して、自分だけの地図ができる。

 経路と言ったほうがいいかもしれない。最終地点までの道順だ。だが、そのとき選択しなかった道筋――それぞれ枝分かれしている――も、ぼくの地図には載っているような気がする。恐ろしいほど細かく、複雑な地図だ。そのなかで、ぼくの選んだ道筋には矢印が書き込まれていて、現在地が赤くマーキングされている、そんなイメージ。

 「人生のスイッチ」と言うと少々大げさだが、生きていくということは、毎日のとても小さな選択の積み重ねだとは思っている。(本文より)


昭和47年9月8日。同じ日、札幌の同じ病院で生まれたふたりの赤ちゃん――「ぼく」蒲生栄人と「おれ」仁村拓郎。進学、就職、結婚、離婚etc.……毎日毎日、無数にあるスイッチの中からひとつを選んで押して、選択を繰り返したふたりの男は、どんな道筋でそれぞれの人生の「地図」を描いてきたのか――。感動作『田村はまだか』の名手・朝倉かすみが紡ぐ、40歳の「ぼく」と「おれ」の物語。

「スイッチは無数にあるんだよ。問題はどれを押すかってこと、ちがう?」

『地図とスイッチ』刊行によせて 朝倉かすみ