いつか、あなたも
久坂部羊著(クサカベ ヨウ)
四六判上製 268ページ
2014年09月11日発売
価格 1,650円(税込)
ISBN 978-4-408-53650-7
在庫なし
最期までこの人に寄り添う。
在宅医療専門クリニック看護師のわたし(中嶋享子)と新米医師の三沢、クリニック院長の一ノ瀬らが様々な患者本人と家族、病とその終焉、そして安楽死の問題にも向き合う。カルテに書かれることのない医療小説、六つの物語。
■綿をつめる
膵臓がん患者の60代女性が亡くなった。わたしは三沢に死後処置――遺体に綿をつめる作業を教えることになった。大病院の医師ならば死亡確認後、カルテを書くだけだが、在宅クリニックでは、医師も死後処置に取り組むのだ。
■罪滅ぼし
認知症の妻を介護する夫。元は家庭を一切顧みないサラリーマンだったが、今は妻のために全身全霊で介護を続けていた。そんな夫を暖かくかつ厳しく見守るわたしたちだが……。
■オカリナの夜
一ノ瀬院長の口癖は「高齢患者はすぐ楽になる」だが、末期患者が在宅で最期を迎える意義も大きいと語る。そして、骨髄腫患者本人への病名告知に関しては意外にも……。
■アロエのチカラ
思い込みの激しい患者家族がいる。卵巣がん末期の妻を支える夫は、医者を信用せず、次から次へと怪しげな民間療法にはまってしまった。
■いつか、あなたも
在宅医療は老人ばかりではない。26歳の女性患者は統合失調症に見えだが、症状は複雑だ。その女性がわたしに投げかけた言葉「いつか、あなたも」の意味は。
■セカンド・ベスト
末期ALS患者の女性は人工呼吸器を拒否し、余命が危うくなってきた。安楽死も選択に入る中で、一ノ瀬院長が、わたしと三沢医師に提案した「セカンド・ベスト」とは。