桜の首飾り
千早茜著(チハヤ アカネ)
四六判 216ページ
2013年02月07日発売
価格 1,430円(税込)
ISBN 978-4-408-53620-0
在庫なし
女と男、七つの物語。
桜の花びらで作った首飾りは、すぐにしおれてしまう。でも、桜と人の間には、さまざまな物語がひそんでいる。泉鏡花文学賞受賞作家による、女と男たちの幻想、羨望、嫉妬、自己回復、そして成長のストーリー七編。
■春の狐憑き
美術館勤務のわたしの昼休み。初老の男性が言う。
狐は人の健全な心を喰うのだとか。喰われると心が解放されるらしい。
■白い破片
花見場所取りの際の雨宿り。声をかけてきた人懐っこい女。
そこで俺が思いだしたのは、冷たい笑いをする過去の女だった。
■初花
元女優のママは、小六のあたしを無理やり華やかな世界で注目させたがる。
いやになったあたしは花屋さんで…。
■エリクシール
わたしは夫の亡妻の身代わり……それに気づいてしまった女は、
バーで知り合った男と愉悦の時間をもっていたが。
■花荒れ
国税局の男に私は、「ゆきちゃん」と名乗る女との関係を聞かれたが、
二人の関係は和菓子がきっかけに過ぎなかった。
■背中
大学内外から持ちこまれる資料を整理するバイト中の僕。
四角四面の上司のもとに、刺青の標本を見たいという女の電話が…。
■樺の秘色
亡くなった祖母の家の庭に私が見た少女の幽霊。
家族にもわからない少女の姿を見えていそうなのは、私のほかに風来坊の男。