干潟のピンギムヌ
石月正広著(イシヅキ マサヒロ)
四六判 316ページ
2010年03月20日発売
価格 1,980円(税込)
ISBN 978-4-408-53570-8
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地獄の底から脱出せよ!!
昭和初期、世界恐慌時に一時不振に陥った日本の石炭産業は、満州事変以降、戦争への傾斜を強める帝国日本の国策下、軍需の拡大から再び活況を取り戻す。日本の最南端の採掘場として西表島のジャングルに埋もれる炭鉱も、坑夫1200名を擁する規模に発展した。そこで坑夫として働いていた中には詐欺同然に連れてこられた者も少なくない。南洋の緑の楽園と信じてやってきた者を待ち受けていたのは、果てしない強制労働とマラリア、奴隷のような生活だった。戦時には小学四、五年生が採掘に従事した記録さえある。そうした歴史を踏まえて書かれたこの物語は、無間地獄の底から命懸けで脱出をはかる少年たちの冒険譚である。西表では逃走者・脱走者のことを「ピンギヌム」と呼んだ。悲劇の運命にあらがい、生きる道を探った少年たちの決死の脱出は成功するのか!?