ビジョン

森村誠一著（モリムラ セイイチ）

単身赴任中に家庭や仕事の行く末に絶望し、喪失感に包まれていた男に束の間の安息をもたらしたひとりの女との出会い。――その運命が、腐った企業の裏面に漂う死臭の源を暴くことへ、男を駆り立てていく……。経理担当者が轢き逃げされたり、失踪した会社へと出向になった男は、社命に背いてその経営の不正を暴いていこうとするが……。事件の連鎖は、男の帰るべき場所を奪っていく。会社に忠誠を尽くす真のロイヤリティとは何か？　会社は誰のためのものなのか？　どのようなビジョンをもてばひとは正しく生きていけるのか、森村誠一ミステリーの真髄といえる長編社会派推理の傑作。