地形と歴史で読み解く 鉄道と街道の深い関係 東京周辺
内田宗治著(ウチダ ムネハル)
A5判 240ページ
2021年05月20日発売
価格 2,640円(税込)
ISBN 978-4-408-33957-3
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鉄道には、旧来の街道に沿った時代と、沿わない時代があった。
その違いを生んだ社会的背景とは?
鉄道も街道も、ある地点とある地点を結ぶために作られる。副次的に沿線が発達する。
ならば、江戸時代の五街道も鉄道も似たようなルートとなって然るべきだ。
しかし、いまの地図を見ると、そうはなっていない。
京王線は甲州街道に、田園都市線は大山道に沿っている。
一方、同じ西に向かう青梅街道に沿った路線はない。
こうした点について鉄道路線はそれぞれのルーツから語られることはあるが、
一定の時代で区切って考えてみると、その時代時代で鉄道に課せられた社会の意識が見えてくる。
●主な内容
第1章 鉄道開業~明治時代後半
鉄道忌避伝説が生じた街道との関係 私鉄による幹線(現JR)建設の時代
・馬車鉄道(新橋―浅草)の誕生
・幹線鉄道は東西南北に一路線ずつ
・鉄道が宿場町に立ち寄らない東海道・中山道・日光街道
・甲州街道と中央線の微妙な関係
・後の大手私鉄に先駆けて、なぜ川越鉄道と青梅鉄道が開業したのか
・幹線のターミナルは船着き場
第2章 明治時代後半~関東大震災
街道にぴったり沿っての鉄道敷設 現・大手私鉄、第一世代の本格的登場
・東海道と甲州街道の集落へ、やっと鉄道がやってきた時代
・山岳信仰の大山街道に敷かれた多摩川の砂利目当ての路面電車
・新河岸川、川越街道と東武東上線
・京成電気軌道と佐倉街道 広大な軍隊の施設と戦後の大規模団地
・「絹の道」と横浜線・沿線の軍事施設
・震災からの帝都復興で放射線と環状線の道路網 環七・環八も計画
第3章 昭和初期前後~現代
環状道路、首都高と私鉄新線 郊外電車の誕生から現代まで
・田園調布・洗足・大岡山の住宅地開発と大学誘致
・目白文化村・大泉・小平学園都市 東急とは対照的な堤康次郎による開発
・各私鉄沿線の住宅地開発
・尾根筋を通る甲州街道沿いの京王線、丘も谷も突っ切り郊外へ向かう小田急線
・西武多摩川線などの砂利鉄道
・未成線――東京山手急行電鉄/京浜電気鉄道は白金を経て青山へ/
新宿・渋谷から西に向かう郊外鉄道
・通称オリンピック道路
・多摩田園都市VS多摩ニュータウン 対照的な鉄道・高速道路構想