夢は、努力でかなえる。

葛西紀明著（カサイ ノリアキ）

やめたいと思ったことは一度もない。
だから、いつも前向きに生きる！

こんなに不運に見舞われる人がいるだろうかと思うほど、次々といろいろなことが葛西選手の身の回りに起こった。決して調子がいい時ばかりでなかった。それでも25年間にわたり、毎年、連続で葛西紀明選手が日本代表メンバーに選ばれ続けてきたのはなぜか？ 葛西選手は、基本的には深いところで監督やコーチ、国内外の選手仲間たち、また家族や所属する会社にとても愛され続けていたのだと思います。だから、彼は一度も辞めようとは思わず、どんな苦難をも、輝いたままで乗り越えられ、優しい心を持ち続けることができたのだと思います。試合が終わったあと、もういいだろうと、総監督がサインをするのを止めに入っても、葛西選手は「いえ、僕はまだ温かいから大丈夫です。みなさんは寒い中、ずうっと待っていました。僕は一人でも多くの人にサインをしてあげたいんです」と決してサインをすることを途中で切り上げたりしなかったといいます。ソチの銀メダルは、口下手で不器用な「葛西紀明選手」の魅力を浮き彫りにしてくれたのではないでしょうか。