朝鮮崩壊 米中のシナリオと日本
長谷川慶太郎著(ハセガワ ケイタロウ)
四六判上製 224ページ
2014年06月05日発売
価格 1,650円(税込)
ISBN 978-4-408-11075-2
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南北朝鮮は統一へ向かう
「ベルリンの壁」が崩壊、東西ドイツが統一されて24年が経つ。いずれは北朝鮮と韓国を分断している38度線も崩壊するといわれてきたが、ついにその時がやってくると著者の長谷川先生は大胆に予測した。それも2014年中の可能性が高いという。理由は、中国が経済破綻により「中国が北朝鮮を見捨てる」からだという。
これまで、中国は北朝鮮に3つの50万トンを無償援助してきた。それが2014年中に打ち切りとなる。この3つとは何か。穀物、無煙炭、そして原油である。北朝鮮はこの中国からの援助で生き延びてきたわけだが、それが中断されるということは、北朝鮮にとって「死」を意味する。その兆しがあるのだ。中国と北朝鮮の国境沿いに流れている大河、鴨緑江を渡る貨物量が最近になって急激に減少している。このため北朝鮮の金正恩第一書記は相当焦っており、この難局を乗り切るために、日本との関係修復を全力で模索し始めている。このことは拉致被害者・横田夫妻とお孫さんとの面会がモンゴルのウランバードルで急遽、実現したことに表れている。そして、日本人拉致被害者全員が近く、日本に帰国する可能性が高いと長谷川先生は指摘した。
北朝鮮の人口は約2480万人、このうち、まともに食べられているのは平壌に住んでいる約300万人に過ぎないという。北朝鮮では食料事情は深刻で、多くの国民が飢餓状態にある。38度線が消滅すると同時に、飢えた北朝鮮の国民が韓国になだれ込むことになる。すると、韓国は食料の手当てが大変になり国内は大混乱に陥る。この状態を唯一、救える国は日本しかない。日本には約350万トンの備蓄米が眠っており、これを朝鮮半島に輸出すれば取りあえず、食料不足による混乱は収まる。
一方見逃せないのは、仮に朝鮮半島が統一されれば、そのコストは膨大になる点だ。その資金面でも支援ができる国は日本しかない。だからこそ韓国の朴槿恵大統領に、「歴史認識問題」「従軍慰安婦」などでの日本に対する批判を止めて、「親日」になれと米国のオバマ大統領やケリー国務長官が強い口調で要請したのだ。近い将来、朴大統領は安倍首相と東京で会談をして、これまでの「反日」姿勢に対して謝罪することになると予想している。
そして、そもそも中国はなぜ経済破綻するのか。それは「理財商品」のデフォルトが大量に発生し、国内各地で取り付け騒ぎが多発すると見られるためだ。加えて人民元安、資産の海外流出、深刻化する公害問題などで中国経済は明らかに低成長に突入すると分析した。失業者は増加しテロも頻繁に発生する。中国国内は混乱し、破綻に向かうことは間違いないと見ている。だから、中国は他国の面倒を見る余裕はなくなり、北朝鮮を見捨てるのだ。2014年中にも朝鮮半島は南北統一という大激動期に突入する。隣国で起こるだろう大変な事態を予測した注目の一冊である。