吉祥ありがた図鑑 幸運をもたらす干支のいわれ
王敏著(ワン ミン)
新書判 224ページ
2012年09月06日発売
価格 838円(税込)
ISBN 978-4-408-10953-4
在庫なし
十二支の動物に託された招福
だれもが幸運を待ち望んでいる。今も昔も変わらない「きっといいことがありますように」という願い。それが12の動物になぞらえられてシンボル化され、形となったものが「干支」として伝えられてきた…そういう今昔のありふれた日々のなかで生まれてきた言葉や図案などに、スポットライトをあてるのが本書です。
黄河文明が誕生したころから、ひとはすでに甲骨文字に十干十二支を使って時間の流れや方位をしるしてきました。古代天文学が天球の運行から、木星の公転周期12年を一つの単位にすることから発祥したものだといわれています。夜空を見上げ、敬虔なる気持ちで、吉祥をもたらしてくれるものに祈りを捧げてきたのです。著者の王敏氏は、中国で生まれた干支が、アジア諸国でどう変容し、いかに受け継がれてきたのか、というごく身近な事例観察から、わかりやすくそのいわれをひもといてゆきます。
干支の源泉を知り、その歴史的経緯を学ぶことは、アジアに暮らす人々の「幸福感」や「願い」に思いをはせること、ご先祖たちの積み重ねてきた努力の流れを読み解くことにつながります。「迷信」と片付けてしまうのは簡単でしょうが、ひとびとが吉祥シンボルに託してきたのは、未来への希望そのものなのですから、干支の図案ひとつ一つに歴史の意味を垣間見ることができるのではないでしょうか…。招福の願いが「干支」の文化を育ててきたことを知るための一冊です。