現代日本名山圖會
三宅修著(ミヤケ オサム)
A5判上製 380ページ
2003年07月12日発売
価格 5,028円(税込)
ISBN 978-4-408-00786-1
在庫なし
山岳愛好家に贈る「忘れた山」「隠れた山」
北海道から九州まで、山を探し歩き写生場所を推定
同じ地点からカメラとペンで文晁の山を再現する
■谷文晁と『日本名山圖會』
今から約200年前、江戸時代後期に谷文晁(1763~1840)という山好きの文人画家がいた。時あたかも文化文政の文化爛熟期である。当時のベストセラー作家であった文晁は、文化9年(1812)に『日本名山圖會』を発表した。内容は北海道の樽前山から九州の桜島岳まで、名山88座を紹介するものであった。世間では、道中記、紀行文に人気があり、目で見る日本の名山に庶民はとびつき版を重ね、ベストセラーとなった。
■著者と『現代日本名山圖會』
文晁の『日本名山圖會』が発表されてから152年後、深田久弥が『日本百名山』を発表し、これが百名山登山ブームのきっかけを作った。丁度その頃、山の芸術誌といわれた「アルプ」の編集者だった著者はフリーの山岳写真家として独立し、文晁の『日本名山圖會』を目にする。その素晴らしさにショックをうけた著者は、現代の谷文晁となって名山を訪れはじめる。第一に文晁の描いた山を調べ訪れ、第二に文晁が写生したと思われる場所を推定し、第三にその場所から現代の山をカメラに収めた。大気汚染を含めた自然条件の変化、宅地化など、困難な撮影であったが、すべて88座を訪ねることができ、ここに『現代日本名山圖會』が完成した。
本書は、右ページに文晁の山を、左ページに著者の撮影した山を載せ、さらに名山の昔と今を文章で紹介している。地図には撮影地点を付した。いずれも山岳愛好家にすすめたい味わいのある山ばかりである。
巻頭文・串田孫一、装画・大谷一良