映画にまつわるXについて
西川美和著(ニシカワ ミワ)
B6判変型上製 284ページ
2013年03月07日発売
価格 1,430円(税込)
ISBN 978-4-408-53623-1
在庫なし
気鋭監督の仕事とその周辺 たっぷり7年分。
『蛇イチゴ』『ゆれる』『ディア・ドクター』『夢売るふたり』、2002年のデビューから、オリジナル脚本・監督による四作の長編映画を生みだし、数々の映画賞を受賞。本書は、いま次回作にもっとも期待の寄せられる映画監督のひとり・西川美和氏、初のエッセイ集。小説誌「ジェイ・ノベル」で2010年にスタートした連載「映画にまつわるXについて」を中心に、雑誌、新聞、ウェブなどに寄稿した7年分のエッセイを収録する。
脚本やキャスティング、取材やオーディションなど、映画制作の現場にまつわるエピソードはもちろん、旅先での出来事や人との出会い、刺激を受けた映画や本について、子どもの頃のことなど、内容は多岐にわたる。いずれも西川美和というフィルターを通し、見つめられ、切り取られた一瞬の風景だが、横綱・朝青龍関はヒーローかヒールか、映画において裸とはどうあるべきか、オーディションでは何を見られているか、カチンコの役割について――すべては映画につながっていく。
とくに「映画にまつわるXについて」の章は、2012年に公開され、Blu-ray&DVDが発売されたばかりの『夢売るふたり』の制作途中に書かれたものが充実。吉原取材ではその結界を感じ取り、主演女優とフォークリフトの免許を取り、ウェイトリフティングの選手を求めてさまざまな人に会い、助監督にネズミを飼育してもらい、と、『夢売るふたり』のひとつひとつのシーンに、どれほどのスタッフが関わり、その情熱が注ぎ込まれているかがじわじわと伝わり、映画と併せて楽しめるはず。
西川氏といえば小説の世界でも作品を評価され、『ゆれる』は第20回三島由紀夫賞候補、『きのうの神さま』は第141回直木三十五賞候補に選ばれている。最新作『その日東京駅五時二十五分発』も、多くの書評に取り上げられるなど話題に。その高い筆力は、本作でも遺憾なく発揮され、十二分の読み応え!!