知念実希人
彼女が命を落としたと聞いたあの日からずっと、
僕は彷徨い続けてきた
過去に苛まれる僕と、脳腫瘍を患う彼女。
お互い心に傷を持ちながらも僕たちは、次第に心を通わせていく。
けれど、彼女への想いが溢れたとき—
僕に届いたのは、“彼女が死んだ”という知らせだった…
崩れる脳を抱きしめて 知念実希人 著
四六判292ページ
2017年09月15日発売
本体価格 1200円+税
ISBN 978-4-408-53714-6
イラスト/げみ
お知らせ
- 2018年3月23日
- 広島本大賞受賞
- 2018年3月20日
- 沖縄書店大賞受賞
- 2018年3月20日
- 沖縄イベント情報
- 2018年1月18日
- 2018年本屋大賞にノミネートされました!
- 2018年4月10日
- 2018年本屋大賞結果発表
圧巻のラスト20ページ!
驚愕し、感動する!!!
広島から神奈川の病院に実習に来た研修医の碓氷は、脳腫瘍を患う女性・ユカリと出会う。
外の世界に怯えるユカリと、過去に苛まれる碓氷。
心に傷をもつふたりは次第に心を通わせていく。
実習を終え広島に帰った碓氷に、ユカリの死の知らせが届く――。
彼女はなぜ死んだのか? 幻だったのか?
ユカリの足跡を追い、碓氷は横浜山手を彷徨う。
そして、明かされる衝撃の真実!?
どんでん返しの伝道師が描く、
究極の恋愛×ミステリー!!
2度読み必至!
エッセイ
『崩れる脳を抱きしめて』刊行記念 日本縦断ウルトラ書店回りツアー 知念実希人
「『仮面病棟』に重版がかかりました」はじめてその報告が来たのは、文庫書下ろし作品として実業之日本社から『仮面病棟』を刊行してから半年以上経った頃のことだった。
かなり時間がかかったが、なんとか最低限は売れてくれた。そう思い安堵していたところ、それから一ヶ月も待たず「また重版をかけます」という報告が来た。
おっ、思ったより売れている? 喜んでいると、「また重版です」「またすぐに重版をかけます」「重版を……」。ひどい(?)ときには週に三回も重版がかかるという状態になった。もちろん小説家にとって『重版』は最も好きな単語なので(ちなみに嫌いな単語は『締切』)、とても嬉しかったが、同時にこんな感情が胸に湧いていた。
なにこれ、怖い。
半年以上もそれほど売れていなかった作品が、別にテレビに取り上げられたわけでもなく爆発的に売れている状況に混乱し、なにやら詐欺的な陰謀にでも巻き込まれているのではないかという被害妄想に新人作家はとらわれたのだ。
しかし、やがて『仮面病棟』が売れ始めた経緯がおぼろげに伝わってきた。作品を気に入ってくれた北海道の書店員さんが店頭で展開して下さったところ売り上げがよく、その情報が周囲の書店に伝わり、そちらでも次第に展開されるようになったということだったのだ。北海道で売れているという情報はやがて他県の書店員さんにも伝わり、ついには全国の書店で展開されるようになっていった。
最終的に『仮面病棟』は啓文堂文庫大賞も頂き、五十万部を超えるヒット作となった。そしてこれを機に、多くの書店で拙作を展開して頂けるようになり、小説家として作品を発表していく基盤を作ることができたのだ。
つまり、現在自分が小説家でいつづけられるのは、紛れもなく書店の応援の賜物である。そのため、以前から「いつか、応援して下さっている書店の皆様にお礼を伝えに行きたい」と版元に希望を伝えていたのだが、なかなか厳しい執筆スケジュール(と出版社の予算)の中、実現できずにいた。しかし、作家デビュー五周年&実業之日本社創業百二十周年記念の勝負作『崩れる脳を抱きしめて』を刊行するにあたり、担当編集者からこう声をかけられた。
「全国書店回りツアーに行きたいかー!?」「オー!」(一部フィクションです)
こうして(スケジュールを空けるために執筆を前倒しにしたストレスで胃をやられ、二週間固形物が食べられなくなるなどのトラブルはあったものの)、以前から希望していた全国書店へのご挨拶回りは実現した。
北は氷点下の北海道から、南は真夏日の沖縄まで、観光名所を見る余裕もなく一日中移動する強行軍。正直かなりこたえたが、書店の皆様の大歓迎が、その苦労を吹っ飛ばしてくれた。ご多忙のなかお邪魔したにもかかわらず、笑顔で出迎えてくれ、拙作について熱く語り、サイン本まで作らせて頂いた皆様には感謝しかない。
ツアーを終え、こうしてエッセイを書きながら、どうやったらあの歓迎に報いることができるか考えたところ一つの結論にたどり着いた。売り上げに貢献できる、質の高い作品を提供していくことだ。小説家としての恩返しはそれしかありえないだろう。そのことを肝に銘じ、再び執筆漬けの日常へと戻ろうと思う。
ツアーでの唯一の心残りは、普段から応援して下さっているにもかかわらず、日程の都合で伺えなかった書店がいくつもあることだ。いつか、ぜひ時間を作りご挨拶をさせて頂きたい。もちろん、今回伺った書店にもよろしければまたお邪魔できればと思っている。
その際には皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
「ジェイ・ノベル 新刊の舞台裏」より
紹介ムービー
推薦コメント
- 文教堂 西葛西店 水野さん
- 「医療小説、ミステリー、恋愛小説がうまく融合し、また残りページが少なくなってこのまま終わるんじゃないかと思わせてからのどんでん返し! 本当に知念さんにしか書けない恋愛小説だと思います」
- みどり書房 みどり桑野店 奥川さん
- 「医学の知識がない私でも読め、読み終わったあとには、その1日を、その時間を生きているという事がいかに素晴らしく、儚く、大切だと思わされました」
- うさぎや 栃木城内店 佐々木さん
- 「最初から最後まで一気に読ませて頂きました。途中飽きること無く一気に読み終えました。ねる前に読み始め気付いたら朝でした。久しぶりに徹夜してしまいました」
- 大垣書店 高槻店 井上哲也さん
- 「一気読みなどと、ヌルい事は云わない。一気に読まされる物語だ!」
- 柏の葉 蔦屋書店 フルヤさん
- 「本当に面白かったです!! 3回だまされました!!」
- ジュンク堂書店 ロフト名古屋店 石本さん
- 「ふり返って読み直せば、プロローグからすでに騙されていたのか……」
- 本の学校 今井ブックセンター 企画開発本部 浜崎広江さん
- 「この恋に仕掛けられた数多の謎! その謎のピースが一つに合わさった時、目のくらむような衝撃が襲う!! 心をわしづかみにされる、今までにない恋愛ミステリ!」
- 三省堂書店 営業企画室 内田剛さん
- 「この密度にしてこの純度!! 今、最も脂の乗り切っている知念実希人。その凄まじいまでの筆力を思う存分に堪能できる新作の登場だ」
- ときわ書房 本店 宇田川さん
- 「上質な恋愛小説に大胆な仕掛けを施した手際もさることながら、真に優れた仕掛けとは、こんなにも物語を清々しく輝かせることができるのか!」
著者プロフィール
知念実希人 (チネン ミキト)
1978年、沖縄県生まれ。東京都在住。東京慈恵会医科大学卒、日本内科学会認定医。2011年、第4回島田荘司選ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を『レゾン・デートル』で受賞。12年、同作を改題、『誰がための刃』で作家デビュー。15年、『仮面病棟』が大ヒット、第二弾『時限病棟』と合わせ、シリーズ75万部を突破。人気の「天久鷹央」シリーズをはじめ、『優しい死神の飼い方』『改貌屋 天才美容外科医・柊貴之の事件カルテ』『あなたのための誘拐』『屋上のテロリスト』など著書多数。最注目の医療ミステリー作家だ。